本学は学生をバカにしています

先日一年生に伝えました。

 

本学は,諸君をバカにしています,と。

こんな太宰メソッドを使って責任逃れと思われるのも癪なので,俺が馬鹿にしていると言うべきだったかもしれぬ。

 

何の話かというと,学生ポートフォリオの話ですけどね。

 

学生に,学校生活を振り返って,頑張ったことを自由記述で書かせる。学業面と学業以外の面に分けて書かせる!頑張った程度を四件法で評価させる!それを四年間累積させることで,就職活動の足しになるそうです。教員は毎年それを書かせて,指導するんだそうです。

 

たかがA4の紙一枚っぺらで,振り返りをさせて,指導するんだと。そうすると,学生にはコミュニケーション力がつき,就職活動で満足のいく結果が出るんだと。

 

大学から配布せよ,実施せよという命令があったので,やりました。

みんなこれに記入しなさい,といって,記入が終わってから「こんなのに真面目に,それっぽい内容を書いた奴は自分がバカにされたことが分かってないのか」と言いました。

 

このアホな政策を策定した人には,次のように理由をつけていかに無駄であるかは指摘したのです。

 

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学生の自己評価の累積が学習効果を高めるとする根拠が理解できません。

1.1 自己を振り返って気付かない欠点については,この方法でのばすことが出来ません。
1.2 多くの場合,自分の欠点に気付いていないことが最大の欠点です。
1.3 欠点を外部から指摘し,克服を援助・指導するのが教員の仕事であり,これは学生への責任転嫁です。

2.学業以外のことについて教員は専門外ですので,指導できませんし,すべきではありません。
2.1 学生の指導ができるのは,教員の専門性にその根拠がありますが,私は「サークル活動・社会活動等」の専門家ではありません。
2.2 FD研修中に,「コミュニケーション力」「ジェネリックスキル」の育成のためにこのポートフォリを利用するとありましたが,コミュニケーション力とやらの専門家でもありません。
2.3 大学教員が学業面以外のことを指導するのは,学生のプライバシーを侵害し,セクハラ・アカハラ問題が発生する可能性を高めます。

3.自己評価項目が五段階である根拠が理解できません。
3.1 心理尺度の専門家として,この測定対象がこの文言,この五段階で測定できるものではないことを指摘しておきます。
3.2 5の「そう思う」とされた学生にそれ以上の成長が望めないことになりますが,それでよろしいのでしょうか。
3.3 とりあえず5とつける,あるいは4年間かけて徐々に点数を上げて成長したように見せる技術を獲得することをコミュニケーション力というのでしょうか。

中途半端なシステムの実施は,その分の労力を教職員にも学生にも課しますので,無理矢理実施することは大学の価値を貶めます。

このように,どう考えても,教員の才能,職員と学生の時間,資源の無駄ですので,実施しないよう重ねてご提案いたします。

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そしたら,「だってやるっていったんだもん,黙って従え馬鹿,やり方はお前次第だろうが(大意)」という返事が返ってきたので,冒頭のような指導の仕方をした次第です。

 

学生には言いました。

だいたい,紙一枚にかけてしまうような青春を送ってくるんじゃねえよ。

自己評価させるということは,自分で自分の欠点を書かせて,「ほらみろ」って言うだけの指導だぞ。指導者の頭が空っぽだからできる技であって,やれって言われたからやって,アホな指導者に突っ込む隙を与えるような奴もそろってどうかしている。

 

だいたい,俺に学問以外のことを指導されたいか?おやおや,君はコミュ力が足りないからちょっと恋愛してきなさい,って指導されたいか?

 

 

これでもピンとこなかったらもう絶望的ですが,そうならないことを信じて。