尊敬できる人

 尊敬できる人はいますか。生き甲斐はありますか。心のよりどころは?

 今日は非常勤先で、後輩が卒論のデータを取りたいということなので、授業時間を少し割いた。
 その調査用紙(アンケート用紙、といえば一般人もわかるか)のなかに、上に書いたような項目があったのです。

 学生は悩んだね。
 「尊敬できる人・・・って、だれ?」ということで、ここに来たとたんに筆が止まる。
 「ほれ・・・好きな小説家とか、ミュージシャンとかいないの?ナイチンゲールとかの、偉人は?」と言ったら、「あぁ、そういうのを書けばいいのか!」だと。
 確かに、「尊敬する」という感情(?)はなかなかわかりにくい。単に好き、というだけではないのである。心からわき出る感情でもあり、理性が求めるところのものでもある。だから、どういう対象を選ぶべきなのか、というのがわからんのだろうな。
 あと一つは、学校の入試マニュアルのせいじゃないか、と思っている。「面接で尊敬する人は、と聞かれるから、そしたら父とか、母ですって答えるんだよ。相手にとってどんな人かわからないから、それ以上質問は来ないんだよ」という面接対策マニュアルというか、面接時のノウハウとして「尊敬する人」というものが入っている。そうすると、ゲームをクリアする感覚で、これを聞かれたらこういうものだ、という知識になってしまっているのではないか。だから、感情を伴った「尊敬できる人」がイメージできないのではないか・・・

 などと、考えを巡らせたのであった。

 ちなみに「書くことがなかったら、俺の名前(小杉先生)って書いておけよ」といったら、吹き出して「ありえへん」と言われた(笑)
 近年、教員は尊敬の対象にならないようです。