「キャリア妨害」を読む

菊地 達昭
東京図書出版
発売日:2011-05-17

全体で300頁ほどの本だが、うち160頁が第一章で、愚痴である(笑)。似たような境遇に居るものとして、この愚痴に共感できることが多く、「そうそう!」とか思いながら読んでいた。最終章は、公務員体質がいかに組織の安定だけを目指し、改革できないかについて論じてあり、一般化できるので普通の人はここだけ読めば良いかも。

橋下市長が大阪で直面している問題と、同じ構造がここにはあるので、そちらから興味を持って読まれても良いかもしれない。

感想、あるいは私の意見としては、次のようなものである。
現代は確かに昔と違い、硬直した組織の不具合が目立つようになってきた。非効率な組織は改めるべきであり、評価することについての考え方も改めなければならない。ただ、無能であっても幸せに慣れる社会にならないとだめだよね、とはおもう。評価されたくない、のはダメ。能力がないのに高給でラッキー、はもう通じない。でも、無能でも気楽で、安月給でも家庭を維持出来て、食う寝る遊ぶに困らない社会になっていかないとな。

大学も、評価してはいけないところもあるんです。でも、せないかんところもある。大学の事務方はもっと改革について意識すべきだし、教員だってそうだ。この感覚が、もっと多くの人に共有されたらいいのに、と思う。そして、望むらくは、互いに敬意を持ちあって、悪意を持たずに、つまり紳士的に改革していけたらいいな。