日本心理学会の引用スタイルjecon_jpa.styを作った

PDFが静的でリッチではないフォーマットだ,という意見はよくわかるけど,記録として残るものは静的であるべきで,統一のフォームとしてトーシロからプロまで行き渡っているフォーマットであることは間違いないから,アカデミア業界では断然必要なフォーマットなわけで。

TeXがスマートでないコーディングを要求し,過去の財産に足を引っ張られていて規格が乱立している,最近はMac/WindowsのOfficeソフトもTeX記法を許すようになっているから,わざわざ手を出したくないという意見もよくわかるけど,みんなが真似したがるほど完成された数式記述ルールだし,コンパイラはひとまずuplatexでいいと思うし,引用文献の作成や構造化された文書作成という設計理念まで合理的で美しい(そして当然アウトプットが美しい)組版ソフトであることは間違いないわけで。

最近はRStudioをテキストエディタとして使うこともできるし,TerminalもRStudioから使えちゃったりするから,ますます文書作成はTeXでいいかなと思い始めている。あと,新しい職場が親TeX的というのも心強い。
で,英語の論文を書いたりするときはrarticleパッケージがあったりするから,それでもう完結しちゃうじゃないと思うんだけど,日本語で論文を書く必要があって,その時は日本心理学会の執筆・投稿の手引きに準拠することになる。ところが,JPA(日本心理学会)準拠のbibtexスタイルファイルがないんだよな。今までは我慢して,似たやつ(jecon)を使って,細部はbblをいじって,という感じだったんだけど,流石にそれは少し手間だなと思うようになった。

そこで日本心理学会用のスタイルファイルを作ることにしました。作ると言っても,武田史郎先生のjecon.styをつかって,設定をポチポチするだけでほとんどOKなのよね。久しぶりに検索してみて驚いたんだけど,jecon.styはgithub上でまだ開発が続いています。unicodeに対応したりしてて。スバラシイ。一方,心理学系TeXといえば奥村泰之先生のスタイルファイルとかがあったんだけど,これは開発が止まってて(2009年からMS Wordで論文を書くようになってしまわれたらしい),イイトコどりをしないといけない。

日本心理学会のスタイルは妙なところがあって,特に翻訳書は原典で引用して,括弧付きで翻訳版を入れるなどしないといけない。んもー。ということで,その辺も関数見ながらなんとか調整しました。

はいこれ

謝辞にも上にも書いたけど,俺自身が何かしたところは少なくて,人の褌で相撲を取るみたいだから公開するのは少し気後れするところもあるんだけど,gitに上げておいたから,公共財としてみんなでどんどんよくしていきましょう。手引きのp.40にある引用書式の例をトレースできるように作ったけど,例に載ってない他の書式など,細部についてはまだ検証してませんので,使ってみていただいて不具合がありましたら,ご意見・コメント・プルリクなどください。

bibtexマクロの書式はわからないんだよなあ。マニュアルもみあたらないし。なのでテキストを目で読みながら,この辺を変えたらこうなるんじゃない?というトライアルアンドエラーの産物ですよ。なかなか面倒な作業だった(実は塾合宿の間,内職して完成させたなんて言えない)。まあでも,今支払う苦労は今後とりかえせるからね。日本語で論文書くならね。

どなたかのお役に立てれば幸いです。